『本日、台風が近づいております。
 全校生徒は、速やかに下校してください、繰り返します・・・』

 そんな放送が、学校中に流れた。


 それは、台風が関東に上陸したといっていた、大雨の日。










台風一過





「うわ〜・・・すごい雨だね」
「そうだな」
「・・・風も、強いね」
「そうだな」
「これじゃ・・・帰れないね」
「そうだな」

 そんな会話を交わして。

 それから、金田が、申し訳なさそうに、不二を見る。

「ごめんね、不二・・・不二までこんなことになっちゃって」
「別にいいよ」
 どうせ帰ったって、何もすることなかったんだから。

 金田の言葉に、不二は笑って。
 暗い教室で、がたがたと鳴る窓ガラスを眺めた。



 ただ今、台風上陸中。



 朝から酷かった雨は、時間が経つとともに、どんどん激しさを増し。

 二時間目の終わる頃には、授業中止、全員下校の放送が流れるほど。

 だから、本当だったら不二も金田も、とうの昔に寮に帰っているはずなのだけれど。


『・・・あ』
『どうした?』

 下校途中で。
 何かに気づいたように、金田が声を上げて。

『忘れ物、しちゃった・・・』
 明日、当たる筈の、数学の教科書。

 困ったように、首を傾げて。
 ごめん、不二、貸してくれる?なんて聞いてくる、金田に。
 もともと苦手な教科以外は、学校に置いてくる癖のある不二も、悪りい、持ってねえ、なんて返すしかなくて。

 けれど、真面目な金田が、当たる個所を放っておくなんてことも、出来るわけがなく。

『ごめん、俺取ってくる!』
 不二、先行ってて。

 そう言って、学校へと踵を返す金田を。
 不二が、放っておける、筈もなく。

『待てよ!』
 俺も行くって!

 などと言いながら、不二も金田の後を追って。


 もう誰もいない学校へ着いたときには、雨は、更に酷くなって。

 教室に着いたときには、窓ガラスの向こうは、前も見えないくらいの、雨になって。


 仕方なく、暗い教室で。
 不二と金田は、台風が過ぎ去るのを、待っていた。





 びゅおおおおおおお





 風が吹く音が、教室中に響く。

 がたがたと、窓ガラスが、割れるんじゃないか、と思うような勢いで、鳴った。

 不二と金田は、2人で窓ガラスの傍まで寄って。
 ため息をついて、その場の床に、座り込んだ。


「・・・ごめんね」
 
 申し訳なさそうな声。

 見れば、金田が泣きそうな顔で。
 不二を、見ていた。


 どきん

 
 その、金田の顔に。
 不二の心臓が、高鳴る。

「だから、いいってんだろ」
 気にすんなよ。

 不二は、笑ってそう言うと。
 ごち、と寄りかかっている壁に、頭を置く。

「うん」
 ありがとう、不二。

 金田の笑う声が、隣でして。

 不二は、笑い返して、目を閉じた。





 風の、鳴る音がして。

 叩きつけるみたいな、雨の音がして。




 それ以外には、何の音もしない教室。





 不意に。

 肩が、触れた。






「あ」






 2人して。
 まるで、電流でも流されたみたいに。
 弾かれたように、互いに見合う。







 びゅうっ。


 風の鳴る音が聞こえる。



 熱帯低気圧の、強い風が。
 窓ガラスをがたがたと揺らす。








 
 暗い教室の中。

 間近に見える不二の顔が。
 

「ん」


 ぶれた。


 重なったのは、唇。


 触れるだけだったそれは、段々深くなっていって。

「んう」

 ぴちゃり、舐めるみたいな水音が。
 叩きつけるような雨音の中、そこだけ浮いたように。
 酷く、響いた。

「ふ、じ」

 息継ぎの合間に。
 金田が小さく呟く。


 頼りなさそうな、声。


 それが、合図だったかのように。
 不二は、そうっと、金田の肩を押した。

 金田のからだが、ゆっくりと床に倒れる。

 力なんて、いれてない。
 それは、振り切ろうとすれば、簡単に振り切れるような。
 簡単に、抗えるような。
 そんな、弱いものだったのだけれど。

 金田は、静かに目を閉じると。
 身体が傾くままに、その身を床に横たえた。

 



 
 がたがたがたっ







 
 また。
 窓ガラスが、風に吹かれて。

 不安定に、揺れた。









「あ」

 ぴくり、と金田が身を竦ませる。
 
 着崩さずに纏われた、金田の制服。
 その隙間から、不二の手が入った。

「や」

 小さく呟いて、金田が目を瞑る。

 するり、と服の中に入った不二の手は。
 動きにくそうに、金田の素の肌を少しだけ撫で上げると。

 入ってきたときと同じ滑らかさで、また出て行く。

 不思議そうに、金田が少しだけ目を開ける。
 
 不二は、そんな金田にちょっとだけ笑って。

 きちんと閉じられた、金田の制服の釦を外し始める。


 ぷち

 
 小さく聞こえる、釦を外される音。

 何だか、とても恥ずかしくて。

 金田は、目を開けていられなくて、その目を伏せる。

 段々と、露になっていく肌。
 するり、とその肌を撫でながら。

 不二は、目を伏せる金田を盗み見た。

 恥かしいのか、目許から頬まで、赤く染まって。
 心もとなげに伏せられた目が、なんとも、頼りなくて。


 ぞくぞくした。


 最後のひとつまで、釦を外し終わって。
 暗い教室に、浮かび上がるかのように曝け出された、金田の肌。
 それに、手を滑らせながら。

 不二は、その胸に浮かぶ薄い桜色の突起に、そうっと口をつける。

「あ!」

 甲高い声が、教室に響いた。
 
 見れば、声を上げた金田は。
 自分の声に驚いたのか、両腕で口の辺りを抑えて。
 きつく、目を瞑っていた。

 そんな金田に、不二は思わず笑いながら。

「声、あげていいぞ」

 そう言って、また、突起に口を戻す。

 ぴくり、と金田のからだが、震えた。

 空いている手で、もう片方の突起を摘む。

「・・・んん・・・っ!」

 抑えている声が、けれど耐え切れなかったのか。
 小さく、漏れる。

 口で歯を立てて、手で爪を立てると。

「ふあ、不二・・・っ!」

 濡れ始めた声で、金田が不二を呼んだ。
 ひくひくと、その体が跳ねる。

 弄られ続けた桜色の突起は、赤く充血して。 

「不二、いや・・・そんなにしちゃ、やだ・・・」

 潤んできた金田の目が、泣きそうに不二を映して。


 その、目に。


 ずぐり、と。
 不二の体の血が、一点に集まる



 不二の体が、胸から離れた。
 
 
 段々と霞みがかってきた頭で、金田が不二を見ようと、顔を上げる。

 そんな金田の耳に、聞こえてきたのは。


 かちゃり、と金属質の音。

 それと、同時に。

「金田・・・腰、上げて」

 少し掠れた不二の声。


 それが、何を意味するかを分かって。

 金田は、羞恥に濡れた目を、恥かしそうに伏せる。 
 目許も、頬も、赤く染まって。

 その目が、泣きそうに、潤んだ。

 けれど。

 金田は、不二の言葉に黙って頷くと。


 ゆっくりとだが、腰を上げた。


 不二は、そんな金田が。
 可愛くて、仕方なくて。
 
 赤くなった目許に、そうっと口付けながら。


 一気に、金田が身に付けているものを、脱がした。


 すうっ、と。
 冷たい空気が、金田の足を撫でる。

 その感触に。

 金田は、恥かしさで泣きそうになりながら。
 ぎゅうっと、きつく目を瞑る。

「不二・・・やだ・・・」

 やっぱり泣きそうな声で、小さく呟かれた言葉に。

「何が、やなんだ?」

 不二は、宥めるように口付けながら。
 小さく笑って、そう問いかける。

「・・・は、恥かしいよ・・・」

 自分の顔を隠すように、腕を顔に押し付けて。
 金田は子供のように、小さく首を振る。

 そんな、金田に。
 不二は、今度ははっきり笑うと。

「恥かしくなんて、ないだろ」

 言いながら、不二は金田自身に手を伸ばした。

 途端。

「やだぁ!」

 まるで叫ぶように、金田が声を上げる。
 
 けれど不二は、そんな金田をちらりと見ただけで。
 伸ばした手を、引こうとはしない。
 
 金田は、そんな不二に、赤い顔のまま、泣きそうになって。
  
「不二、やだ、汚いよ・・・」

 手を伸ばして。
 そこから不二の手を離そうとでもするかのように、不二の手を握った。

「汚くなんかねえよ」

 けれど不二は、金田の言葉に、あっさりとそう答えると。
 ゆるゆると指を上下に扱いた。

 びくびくと、金田の身体が痙攣するように、揺れる。

「あ、不二っ・・・やだぁ・・・」

 濡れた声が、金田の口から上がる。
 ひくり、と震えるからだに、不二は薄く笑って。

「何で?気持ちよくねえ?」

 言いながら、今度は少し乱暴に扱ってみる。
 引っ掻くように、少しだけ爪を立てると。

「やぁあ!」

 びくりと、金田の身体が大きく震える。

 ひくり、と金田自身も、とろりとした蜜を零して、震えた。
  
 不二は、そんな金田に、また薄く笑うと。

「お前のは、気持ちいいって言ってるけどな」

 そう言って、先程よりも激しく、手を動かした。
 
「や、不二、やだよぉ・・・」
 
 言われた言葉に。
 金田は、恥かしさのあまり涙を零す。

 ぎゅうっ、と瞑られた目許から。
 零れた、涙が頬を伝って。

 
 
 可愛い。



 何だかたまらなくなって。

 不二は、金田自身を扱う手を緩めぬまま。
 金田の頬に伝った涙を舐め取る。

「なあ、気持ちよくねえ?」

 耳元に囁くと。
 赤くなった頬のまま、また涙を零して。
 目を伏せて、黙る。

 その、姿に。

 何だか、無性に。
 意地悪したい、気持ちになって。

「なあ、って」

 再度、耳元に口を寄せて。
 もう一度、問いかける。

 その間も、指の動きは休まることがなく。
 くちゅくちゅと、金田自身から溢れる蜜が、不二の指に絡んでやらしい音を立てる。
 
「な、口で言って」
 俺、お前の声で聞きたい。

 言いながら、耳に口付けて。

「な」

 駄目押しのように、耳朶を噛む。

 金田は、その感触に、ぶるりと身を竦ませると。

 一瞬だけ、泣きそうな顔になって。
 目を伏せて、顔を赤く染めて。


「・・・き、きもち、いい・・・・」


 消えるような、小さい声。
 けれど、それは紛れもない、金田の声で。

 それを聞いた不二は、満面の笑顔になる。

 言った後、すぐにまた、きつく目を閉じて。
 恥かしさのためか、小さく震える、金田。

 その口に、軽く口付けて。

「お前、すっげえ可愛い」

 嬉しそうに響く、不二の声。
 その言葉に、金田はうっすらと目を開けた。


 目の前には、満面の笑みを浮かべる、不二の顔。


 不二がこんな風に、破顔することなんて、あまりないから。
 金田は、珍しい不二の満面の笑顔に。
 赤くなった目を丸くして、思わず見惚れてしまう。
 
 不二が、空いている手で、金田の手を取った。

 そのまま、金田の指に、そうっと口付けて。


「もっと気持ちよくなってよ」

 
 笑いながら、それでも鋭い目で。
 射ぬかれるように、見つめられて。

 金田は、びくりと身を震わせた。

 ぐちゅぐちゅと濡れた、外から聞こえる雨音とはまた違った、やらしい水音は。
 先程よりも、確かに大きくなっていて。

 かりっ

 不二が、金田自身の先端に、軽く爪を立てた。

「―――ひあっ!」

 その感触に。
 まるで、電流が流れたみたいに、身体を跳ねさせて。

「いや、あ、あ、あ・・・・・っ」

 きつく、きつく目を閉じて。

 金田は、ただただからだを痙攣させる。

 最後に、ひくりと大きく揺れて。

 脱力したのか、突っ張っていたからだが、ぐにゃりと床に落ちる。

 うっすらと開かれた目から、また。
 涙が、零れた。


「金田」

 
 呼びかけると。
 赤い目のままで、ゆっくりと不二を見て。
 その目を、恥かしそうに、伏せる。



 その、目が。


 たまらなく、やらしく見えて。




「可愛い」

 ちゅ、と音をたてて、赤くなった目許に口付けながら。


 金田の放ったもので、ぬるぬると濡れた指を。
 金田のからだの、最奥に当てた。

 その感触に。
 金田のからだが、また、跳ねる。

「や、ふ、ふじっ!」

 慌てたように、金田の手が、不二の手に伸びる。
 けれど、達した後のからだは、思うように動かずに。
 金田の指は、不二の腕を掠めるだけに、終わる。

 つぷり

 不二の指が、自分の内に挿入ってくる感覚。

 それに、金田は思わず身を震わせた。
 
「やだ、そんなとこ触っちゃやだ・・・っ!」
 
 最後の方は、泣き声に近かった。

 不二は、そんな金田を宥めるかのように。
 そうっと、涙を零す目に、口付けて。

「大丈夫だから。な?」
 
 優しく笑う。

 けれど、金田は。

「やだよぉ、だって汚いよ、だめだよぉ・・・っ」

 ずるり、と自分の内で、指が蠢く感触に、身を震わせながら。
 涙目で、首を横に振る。 

 そんな金田に。

「汚くなんか無いって言ったろ」

 な。

 今度は、耳に、音を立てて口付けて。

「それに、こうしないと、お前辛いぞ」

 だから、な?

 言いながら、不二は。
 優しく、金田の口に、自分のそれを寄せた。

 何度か、啄ばむように口付けると。

 泣きそうに顰められていた金田の顔が。
 安心したような顔になる。

 その様子に。

 不二は、軽く金田の口に、口付けると。
 止めていた指をまた、動かし始めた。

 ひくり、と金田のからだが、震える。

 ぐちゅぐちゅ、さっきとはまた違った、濡れた音が。
 もう風の音もやんだ教室中に、響いて。

 それは、勿論、金田の耳にも、届いて。


 金田は、泣きそうになりながら、目を固く固く閉じた。


(は、恥かしいよ・・・)


 自分のからだの奥の奥で。
 不二の指が、動いているのを、感じる。


 その指が動くたびに。

 痛いとか、苦しいとか、そういう感覚とは、別の。

 良く分からない、言い表せない感覚が。

 けれど決して、不快ではない感覚が。

 からだの内の、深いところで、渦巻いているような、気がして。



 
 恥かしくて、消えたくなる。




「や、やだあ・・・不二・・・っ!」

 ぐちゅり、と一際深いところまで、不二の指が入って。

 ぶる、っと金田は引きつるように身を震わせた。

 ひくり、と金田自身も、またとろとろと蜜を溢れさせて。


 不二の指が入っているところが、柔らかくなってきたのが、自分でも分かる。


「ふあ、不二、不二ぃっ!」

 指で、内を擦られる感触が、何だか。

 ―――――――何だか。

「あ、不二っ!いや、駄目・・・・・っ」

 不二の指が、一際強く、金田の内を擦って。

 金田はたまらずに、その身を痙攣させた。

 自身から、白濁とした蜜が、あとからあとから溢れて。


 金田は、目をきつく閉じて。
 その感覚に、身を委ねた。


「金田」


 耳元で囁かれて。

 金田は、漸くその目を開ける。


 とろりと蕩けた目が、不二を捉えて。


 ずくん


 また、不二の身体に。
 その、一点に。
 血が、集まる。


「不二」

 息だけで呼ばれた、自分の名に。
 
「・・・何だ?」

 不二は、顔を寄せて金田を見た。

 金田の手が、不二のほうに伸びる。

 そして。

 
「不二、俺、もう平気」


 不二の首の後ろに、その腕を回して。
 金田が、囁くように、続けた。


 
「だいじょうぶ、だから」



 だから。


 
 そこまで言って、金田は口を閉ざす。
 
 何事か言おうとして、恥かしそうに、目を伏せて。

 赤くなった目元が、妙にやらしくて。

 
 不二は、ごくりと息を呑んだ。


「いい、のか?」

 金田が言いかけたことを、察して。
 不二は、掠れた声で、問いかける。

 伏せた目のままで。
 それでも金田は、小さく、けれどしっかりと。
 
 頷いた。



 ごくり


 
 不二の、また息を呑む音が。
 妙に、響いた。

 
「い、いれる、ぞ?」
 
 掠れた声で。
 もう一度、確認するように問いかける。

 金田が、やっぱり小さく頷いて。
 そうっと、その目を閉じた。

 不二は、もう一度唾を飲むと。

 金田の両足の、膝の裏に、手を入れて。
 そのままぐい、っと金田の足を、膝が床につくくらいまで、持ち上げる。
 
 全てが不二の前に晒される、その格好に。
 金田は、恥かしさに、ぎゅうっと固く、目を瞑ったけれど。

「!」

 押し当てられた、不二自身の、熱い熱に。
 金田は、思わず目を見開いた。

「力、抜けよ」

 いつもの不二の声よりも、低い声が、そう言葉を紡いで。
 それから、ごく、と息を呑む音。

 そのあと。

「――――――――――――――!!」

 声なんか、出なかった。

 熱い塊が、金田の中を押し入って、挿入ってくる。
  
 激痛?―――違う。

 熱い。 
 
 熱くて、熱くて、焼かれるみたいな。

 まるで、焼き鏝で、体の中をかき回される、みたいな。


「――っひ、う、くぅ――――――・・・・っ」
 
 
 懸命に、叫ばないように、奥歯を噛みしめる。

 絶対に、痛いなんて言いたくなかった。

 泣き叫んだり、したくなかった。


 だって、そしたら、不二は。
 絶対、心配する。


 大丈夫か、って、心配そうに、俺を見て。

 ごめんな、って眉を寄せて、謝ってくる。



 違うよ。



 俺、不二のこと、好きなんだ。 
 俺だって、不二と、こういうことしたいと思ってたんだ。




 だから。




 ぎりぎりと、歯軋りするみたいに、噛みしめて。
 けれど涙だけは、堪えようが無くて。
 ぼろぼろと、涙が零れる。



「大丈夫か?」

 耳元で、心配そうな声。

 本当は、目も開けられないくらい、痛かったけれど。
 何とか、薄目を開けて。

 だい、じょうぶ。

 息だけで言って。
 また、固く目を閉じた。

 そんな、金田に。
 不二が、少しだけ眉根を寄せる。

 それから。

「ごめんな」

 申し訳なさそうな、不二の声が。
 耳元で、した。

 金田は、その言葉に。
 弾かれたように、首を横に振って。

 ぎゅう

 回した手に、力を込める。

「・・っち、がうよ・・・」
「金田?」

 苦しそうに、切れ切れになる声。
 それでも、金田は懸命に言葉を続ける。

「・・・ふじ、あやまんないでよ・・・」

 言われた言葉に。
 不二は、眼を見開いた。
 
「あやまったりしたら、やだよ・・・」

 ぎゅう、閉じた目から。 
 先程までとは違う涙が、零れて。

「おれ、ふじのこと、すきだから」

 だから。


「だから、あやまったりしないでよ・・・」


 泣きながら、ぎゅうっと抱きついてくる、金田に。

 不二は、何だかたまらなくなって。

「そうだな」
 
 小さく笑って。
 懸命にしがみついてくる、その身体を。
 思い切り、抱きしめた。


「俺も、おまえのこと、すげえ好き」


 耳元で、そう囁くと。

 安心したように、金田が笑った。
 
 不二は、そんな金田に、軽く口付けて。

「・・・動いても、いいか?」

 少しだけ、眉根を寄せて。
 そう問い掛けてくる。

 金田は、その問いに。
 少しだけ、息を呑んで。

 それから、ゆっくりと頷いた。

 それを見て。
 不二がゆっくりと律動をはじめる。

「―――――あ、あ」

 ひきつれるみたいな、金田の声。

 ゆっくり、ゆっくりと、壊さないように、不二は律動を続ける。

 不二にとって、金田は大事で。
 とても、とても大事で。

 傷つけたくないし、泣かせたくない。

 でも、ともすれば、暴走してしまうような、自分がいて。
 ぎゅう、と不二を締め付けてくる、蕩けるみたいに熱い、金田の内に。
 我慢できなくて、めちゃくちゃにしてしまいたくなる、自分もいて。

(焦んな、焦んな、焦んな)

 心の中で、自分に言い聞かせながら。
 不二は、金田の自身に手をやった。

「ひあ!」

 ひくり、と金田の身が跳ねる。

 同時に、ぎゅう、と金田の内が、不二を一際強く、締め付けた。

「っく」

 その締め付けに、不二は思わず眉を顰めて。
 眼を閉じて、大きく息を吐いた。

「や、ふじ・・・っ、あ、だめっ!」

 ぐちゅぐちゅと、自身を弄る不二の手の動きに。
 金田は思わず身を捩る。

 その間も、不二の律動は、ゆっくりだが止まることはなく。


 段々と、金田の頭の中が、白くなってきた。


 不二が挿入っている部分は、熱くて。
 麻痺してきたように、熱くて。

 弄られている自身は、ダイレクトに快楽を、金田の身体に伝えてきて。

「あ、ああ・・・っふじ、何か、何か俺駄目・・・」

 ひくり、と金田の体が震える。

 うすく開けられた目からは、やっぱり涙が零れていたけれど。
 その目に浮かんでいるのは、苦痛よりも、悦楽の色が強くて。

 それを悟った不二は、金田を見て薄く笑った。

「もう、イきそう?」

 耳元で、低くそう囁くと。
 金田のからだが、大きく震える。

「わ、かんな・・・ああっ・・・わかんないよぉ・・・わかんないけど俺、俺もぉ駄目・・・・っ!!」

 最後のほうは、ほとんど叫んでいた。
 不二は、そんな金田の様子に、金田自身を扱いていた指の動きを、更に早める。

「ひあ、ふじ、ふじぃ・・・・・・っ!」

 ぎゅう、っと、金田が不二にしがみつく。
 びくりと、金田のからだが、痙攣して。

「ふあ、あ、ああぁあ・・・・・・・・・!」

 一際、甲高い声を上げて。
 金田のからだが、跳ねた。

 その、瞬間。
 金田の内が、ぎゅうっと収縮して。

「・・・・っく!!」
 
 その、心地良く強い締め付けに、耐え切れなくなって。
 不二も、ほぼ同時に、金田の内に、それを放った。


 熱い、熱い不二のそれ。

 金田は、目を瞑ったまま、ひくひく震えながら。
 それが、からだの奥の奥まで、流れていくのを、感じていた。







「なあ」 
「・・・ん?」
「雨、やんだな」
「・・・そうだね」
「・・・もう、帰れる、な」
「・・・そうだね」

 こんな会話を交わして。
 不二は座ったまま、金田は横たわったままで。
 視線を合わせられずに、俯いて、黙る。

 互いに、ちらりと互いを見て。

「「・・・・!!」」

 目が合って、2人して真っ赤になって。

「ど、どーすっかな、これから!」

 裏返った声で、不二が言った」

「お、俺、動けない、よ・・・」

 消えそうな声で、金田が言った。

 その言葉に、目を見開いて不二が金田を見て。

「ま、まじ?」
「・・・まじ」

 頬を赤くして、言いづらそうに呟く、金田に。
 不二が、申し訳なさそうな顔になる。

「・・・ごめんな」

 呟かれた不二の言葉に。

 今度は、弾かれたように金田が不二を見た。

「あ、謝らないでってば!」
「・・・金田?」

 怒ったように、言われた言葉。
 不二が、驚いたような表情をする。


「だ、だって、不二だけの所為じゃないじゃん・・・」

 お、俺だって、したかったんだから。


 先程よりも、顔を赤くして。
 消えるような声で、金田が呟いた。

 その、言葉に。

 不二が、嬉しそうに、笑う。


「そうだな」


 金田の言葉に、そう返して。





 今だ、横たわったままの金田に。


 不二は、触れるだけの、キスをした。











 窓の外は、青天。

 台風一過の、校庭には。
 綺麗に染まった橙色が、広がっていた。














―――――――――――――――――――――――

・・・・・・・何なんだろう、この話は・・・・・(泣)。
これじゃ金田くんが女の子だろ!!
私の趣味だけで突っ走ったらこんな結果に・・・(泣)。
しかも何だか妙に長いし。
あああ、本当にごめんなさいです、ベリィ様・・・。

60600HITを踏んでくださり、本当にありがとうございましたv











真名由斗様、素敵ユタ金SSありがとうございます〜〜!!
乙女な金田っ!最高です!
恥らう金田がもう可愛くて…可愛くて…!
狂いそうになりながら読ませていただきました!

本当に本当にありがとうございました!!





真名由斗様

「DANCE NUMBER」









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