1730で









学校の屋上、今日は珍しく完全オレンジ。


なんか汚れた雑巾が体にべったり張り付いてるみたいだぁ、と考えていたら涙が流れた。
よかった、一人で。









フルーツ牛乳の紙パックをズズズと飲み干した時に、後ろから鉄のトビラが開いた音。

「おう」
「あ、ども…」


海堂がオレンジ100を飲みながらやってきた。






「それ、ちょうど飲みたかったんだなー」
「泣いてる奴に、突然そんな事言われてもな」
「こりゃなんかの液だよ、気にすんな」











「お前、なんかあったのか?」

私の隣に腰を降ろし、こっちを見ないで言う。
こいつ、口は悪いけど根は優しいんだよなぁ。


「あはは、失恋したんだ!笑え、愉快だね」
「知るかバカ」
「バカって言うなや」







、彼氏いたんだ」
「いたさー、陸上部の岸野って知らない?」
「知らねぇ、誰そいつ」
「そいつと付き合ってたんだけど、今さっきここでフラれたのさ!どう?このシチュエーション」
「あっそ…」




「氷帝に、好きな子出来たんだってさー」


壊れてガーガー言ってるスピーカーからバカでかい音で下校の放送が聞こえる。

どうでもいいけど。




あぁ、なんか肌寒くなってきたな。









「私、そいつに処女捧げなくって良かったー!!」
「おま…そんな事、でけぇ声で言うなよ!頭おかしいんじゃねぇ?」
「おかしくもなるさ、フラれっ子だもん…」




ダリぃから帰る、と言って海堂は立ち上がった。
その制服の背中が妙に嫌だった。

「さっさと帰っちまえ、この五白眼」


投げた空っぽのフルーツ牛乳が海堂の背中にポカンと当たる。
振り向きざまに私にも紙パックを投げ付けてくる。

「うっわ、マジ…」






「俺だって、今ここで失恋したんだよ。バカ野郎」





そんな告白。




「一緒に帰るかー」
と俺、向き逆だろ」
「じゃあ、一緒にー」

めんどくさそうに頭をガリガリ掻きながら私の話を聞く。



「一緒に…」













「いっしょに」






私はその場に座り込み、大声で泣いた。












海堂が私の肩を優しく抱いた。










 終










学校の屋上なんて上った事ないんですけどね。
フルーツ牛乳の色と夕焼けとオレンジが被りまくりでヤダ。
優しい男の子なんです、薫たん。











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