恋愛のカタチA
【初エッチ】





「越前、帰り何か食って帰んねぇ?」

部活終わって着替えてる時、桃先輩に誘われた。
昨日までなら、ついてってオゴッてもらってた。

でも俺は、昨日から大石先輩と付き合ってる。
付き合ってる人がいるのに他の男と帰るのって変だよな。

でも何て断ればいいんだろう…?
大石先輩と帰る約束してるわけじゃないし。

困った。


「ダメだよ、桃!おチビは大石と帰るんだから!」

助け舟を出してくれたのはエージ先輩。

「へ?大石先輩…と?何でっスか!?」
「いいからっ!今日は俺と帰ろ」
桃先輩の腕をグイグイ引っ張って部室を後にした。

エージ先輩、何でそこまでしてくれんの?


自分だって大石先輩の事好きなくせに。


部室出る時、笑顔でウインクしてくれた。

“頑張れ”って見えたのは、俺のエゴっスか?


「英二のやつ…気利かせてくれたんだな」

部室を見渡すと、大石先輩以外誰もいなかった。


大石先輩は、エージ先輩の本当の気持ちを知らない。
エージ先輩が心から俺達の事を応援してくれてると思ってる。



「ここで待っててもいいっスか?」

「ごめんな。すぐ終わらせるから」

静かな部室に、日誌を書く大石先輩のシャーペンの音が響く。



関係ないよ。

エージ先輩の気持ちなんてどうでもいい。

大石先輩は俺の事好きって言ってくれてるんだから。
付き合ってるのは俺なんだから。

エージ先輩に感謝なんてしない。
偽善者ぶって勝手に気利かせてるあの人が悪いんだ。

自分の首絞めてバカじゃないの。




「あのさ…越前」

大石先輩が沈黙を破る。
俺は視線だけを先輩に向けた。

そして、俺の心臓を高鳴らせる一言。


「今度の日曜…二人でどこか行こうか」


「ぇ、えっ?あ…ハイ」

ドキっとして、声…裏返った。
たぶん顔も赤くなってる…。

だってこれってデートの誘いでしょ?

「じゃ、どこに行こうか?」
大石先輩も少し赤くなって嬉しそうに聞いてくる。

行きたいとこ…。考えたけど浮かばない。
大石先輩とならどこに行っても楽しめる気がするから…。

「別に…どこでもいいっス」

今の返事、ちょっとクールすぎたかも。
素直に自分の気持ちを言葉にしたつもりだけど…どうでも良さそうに聞こえたかな。


どうしてうまく伝えられないんだろう…。

そんな俺の心理を知ってか知らずか、大石先輩は優しい言葉を返してくれる。

「わがまま言っていいんだぞ。行きたい所、言ってごらん」


…そうだ。


「俺、大石先輩の家に行きたい」


俺が一番行きたい場所。

「俺の家…?別に面白くないぞ?」

「好きな人の部屋見たいって思うの、変?」


先輩、赤くなってる。
“好きな人”って言葉に反応したのかな…?

けっこう、分かりやすい人かも。




ふと、手のひらで自分の頬を触って思う。


…俺も人の事言えないけど。







→続き




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