数日後の
月曜日の朝。


朝練を終え教室に帰る途中、部室にペンケースを忘れた事に気づいた。

「やべっ!大石先輩まだカギ閉めてねぇかな?」

とりあえず部室にダッシュ。
途中、教室に向かう大石先輩と会えるかもしんねぇ。


案の定、廊下の先に大石先輩の姿が見えた。


「大石先輩っ!すいません、部室に忘れ物取りに行くんで、カギ貸してもらっていいっスか?」

「あ、桃。部室ならたぶんまだ英二がいると思うぞ。カギも英二に渡してきた」


「エージ先輩?どうかしたんスか?」


大石先輩の表情が少し曇った。

「いや…俺もよく分からないんだ。何か様子が変だったから一人残して来たくなかったんだけど、先に教室帰ってくれってきかなくて…。桃、英二が具合悪そうだったら、保健室に連れて行ってやってくれないか?」

エージ先輩の様子が変…?
微かに感じる胸騒ぎ。


俺は大石先輩の頼みを了解して、部室に急いだ。






「エージ先輩っ!いるんスか?」

部室のドアを勢い良く開けて叫んだ。


いねぇ。

カギは開いていたのにそこにエージ先輩の姿はなかった。





「……っ…」


!?
何か物音がしたような気がして部室を見渡すと

入り口からは死角になっている所にエージ先輩が体育座りでうずくまっていた。



「エージ先輩、そんなトコで何やってるんスか?」

エージ先輩に近づく。



「……っく……」







俺の目に映ったもの。









震えて




声を殺して






泣いているエージ先輩。







「エ…エージ先輩…?」


俺はどうしていいか分からずに、エージ先輩の肩に触れた。

「……っ……っく……」

触るな、とでも言いた気に身をよじる。



それでもほっとける訳ねぇよ…。




「エージ先輩…何かあったんスか…?」


返事はない。




しゃくり上げる声を殺す音。


苦しそうに息をする音だけが響く。





俺は黙ってエージ先輩の横に腰を下ろした。



泣いてる側にいられんのが迷惑だって事は分かってる。

けど、うずくまってるエージ先輩の体がすげぇ小さくて







俺が側にいてやらねぇと







そんな気になった。









→続き




SEO対策 ショッピングカート レンタルサーバー /テキスト広告 アクセス解析 無料ホームページ ライブチャット ブログ